温冷配膳車の衛生管理にも良いって本当?
「衛生的に安心」という理由で、温冷配膳車を導入する施設は多くあります。
こちらでは、なぜ温冷配膳車が衛生管理で優れているのかを、食中毒予防のポイントとともに解説します。また主な食中毒の種類についても紹介します。
食中毒予防の3原則
食中毒予防の3原則
- ①菌を付けない・持ち込まない
- ②菌を増やさない
- ③菌をやっつける
- ①菌を付けない・持ち込まない
- 信頼のおける仕入れ先から商品を仕入れます。検品をしっかり行い、食材ごとに適切に保管し、菌を持ち込まないようにします。
手はしっかり洗い、調理器具は洗剤でよく洗ってから熱湯や漂白剤で消毒し、乾燥させます。まな板や包丁は食材ごとに使い分けて細菌が付かないように注意しましょう。
- ②菌を増やさない
- 温度管理を適切に行うことが大切です。
- 冷蔵庫は−5℃以下
- 冷凍は−15℃以下
- 温蔵室は65℃以上
冷蔵庫、冷凍庫の頻繁な開け閉め、食品の詰め込みすぎは温度上昇につながるので、注意しましょう。
- ③菌をやっつける
- 加熱調理を行います。中心温度が75℃以上1分間以上を目安に加熱しましょう。ノロウィルスの場合は85℃以上1分間以上の加熱です。
温冷配膳車で「菌を増やさない」
温冷配膳車は、食中毒予防3原則の「②菌を増やさない」にあたります。
調理室で調理した食品は、利用者の元に運ぶまでに二次汚染が起こらないよう、異物が混入しないよう注意をしなければなりません。
厚生労働省による食中毒防止の「大量調理施設衛生管理マニュアル」には、
「調理後直ちに提供される食品以外の食品は、食中毒菌の増殖を抑制するために10℃以下または65℃以上で管理する必要があり、配送過程においては温冷機能のある運搬車を用いるなど温度管理を行うように」
とあります。
温冷配膳車で設定できる温度は、メーカーによって多少違いはありますが、温蔵室が65〜75℃、冷蔵室が5〜10℃です。温冷配膳車を使うことによって食中毒の予防にもなります。
また同じく、「大量調理施設衛生管理マニュアル」によると
「調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい」
とあります。
配膳車から出した食事はすぐに食べてもらうことも大事です。
主な食中毒の種類
- 腸管出血性大腸菌(O157、O111など)
- 十分に加熱されていない肉や生野菜、井戸水やわき水などが原因
生野菜はよく洗い、肉は十分に加熱することで防げます。
- カンピロバクター
- 十分に加熱されていない肉(特に鶏肉)、よく洗っていない野菜、井戸水やわき水が原因
熱や乾燥に弱く、加熱することで菌は死滅します。
- サルモネラ菌
- 十分に加熱していない卵・肉・魚などが原因
卵は新鮮なものを購入し、冷蔵保管して早めに消費する。乾燥に強く、熱に弱いので十分に加熱すること。
- 黄色ブドウ球菌
- ヒトの皮膚、鼻や口の中、傷口などにいる菌で、おにぎりや弁当、調理パンなど、加熱後の作業で食品へ付着することが原因
一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒を防ぐことはできません。
- 腸炎ビブリオ菌
- 生の魚や貝などの魚介類が原因
塩分があるところで増え、真水や熱に弱い特徴があります。
- ノロウイルス
- カキやハマグリなどの二枚貝を生や十分加熱しないで食べた場合や、ウイルスに汚染された水道水や井戸水などを飲んで感染することがあります。
十分に加熱することと、食中毒にかかった人の便や嘔吐物に注意しましょう。